今回は、馬の学校Milky Wayが現在行っている三つの活動プログラムをご紹介します。一つめは、春、夏、冬の長期休暇中に行っている「ホーススクール」、二つめは、循環型農業を体験する「にんじんを育てて馬にあげよう」、三つめは、親子で馬とのふれあいや乗馬を楽しむ「親子で馬とのふれあい体験」です。どのプログラムも、馬を取り巻く環境そのものを学びの場や機会として大切にしています。
1.「ホーススクール」プログラム
「ホーススクール」は、春、夏、冬の長期休暇中に、小学生を対象として行っているプログラムです。馬小屋のそうじやえさ作り、ブラシがけ、引き馬乗馬、工作などの活動を行います。このプログラムは、北杜市教育委員会の後援を得て、学校から案内されるWEBサイトに案内が掲載されており、北杜市内の子どもたちが多く参加しています。
【活動内容】
馬小屋のそうじやエサ作り、ブラシがけなどのお世話と引き馬乗馬、そして工作やワークシートなどを、定員4名で3時間かけてゆっくりと行います。馬小屋のそうじでは、2名ずつに分かれてミルキーとアキオの小屋を掃除します。一輪車でボロを運ぶ時には、一人が一輪車を押して、一人が支えるなど、協力する場面が多くあり、初対面でも作業を通して仲良くなっていきます。ブラシがけでは、どこにブラシをかけたら馬にとって気持ちがいいのか、馬の様子を見ながら行うことで、馬との距離も縮まります。
<工作>では、自分たちのネームプレート作り、手芸用ロープひもを使っての馬作り、馬の写真を使ったカレンダー作りなど、この活動プログラムに参加した思い出となるものを作っています。いくつか用意してある素材を選んで作ることができるようにしており、工作の苦手な子どもでも気軽に取り組め、それぞれの子どもたちが個性を出せるようなものをと考えています。
また<お世話>の前後には、馬のことを知ってもらうためにクイズを行っています。クイズの答えに丸をつけるワークシートを用意しておくことで復習ができ、家に帰ってからも見返せるようにしています。夏休みの自由研究にそれを活用することも可能です。
<ホーススクール>プログラム参加後に、ミルキーフレンズやミルキーアフタースクールに入会したり、ホーススクールのリピーターとして参加してくれる子どももいて、馬と出逢うきっかけになっていると感じています。
工作(ネームプレート、手芸用ロープひもを使っての馬作り)とワークシート
2.「にんじんを育てて馬にあげよう」プログラム
馬の学校MilkyWayが敷地をお借りしている農家さんとの協働で行っている「にんじんを育てて馬にあげよう」プログラムは、<種まき編>と<収穫編>の2回から成っています。
【活動内容】
<種まき編>では、畑の土にボロの堆肥を混ぜるところから始めます。そして土をならして筋をつけ、そこに種を蒔いていきます。蒔き終わったら、土をかぶせ、乾燥防止に稲わらを乗せてから、水やりをします。また、馬のお世話や乗馬も行います。馬小屋のそうじをしてボロを取り、それを堆肥として使うことを体験することで、ボロは臭いものではなく、農業をする上で大切なものに変わっていきます。
にんじんは種まき後2~3か月で収穫となります。その間に必要な間引きや草取りといった作業は、ミルキーフレンズやミルキーアフタースクールの活動の一環として、子どもたちにも協力してもらっています。草取りを頑張った個所はにんじんが大きく育ち、おろそかにした個所は細いにんじんになっていて、草取りの大切さを実感することにもなります。
<収穫編>では、育ったにんじんを収穫して、馬たちにあげます。馬たちは、新鮮な葉っぱ付きのにんじんが大好きです。自分たちが育てたにんじんを馬にあげることで、さらに愛着もわきます。
このプログラムは、馬を通して、循環型農業の一部を実際に学ぶことができる貴重な機会となっています。
3.「親子で馬とのふれあい体験」プログラム
未就学児とその保護者を対象として行っている「親子で馬とのふれあい体験」は、子どもたちのペースで馬にかかわることで、ゆっくりと馬と仲良くなれるプログラムです。
【活動内容】
まずはエサやりの時間を十分に取ります。春は田んぼのあぜ道に生えている青草を取ってきて、秋の稲刈り後には、田んぼに稲わらを取りに行って、それらを馬にあげます。手であげるのが怖い場合はボウルに入れてあげることもできます。自分で取ってきてあげることで、馬はどんな草が好きかを考えることにもつながります。
次は、ブラシがけをします。小さい子どもたちはお父さんやお母さんに抱っこしてもらいながら、あるいは台を使って、ミルキーにブラシをかけます。さわってあたたかさを感じたり、手触りを楽しんだりすることで、馬との距離がぐんと縮まります。
そしていよいよ馬に乗ります。お父さんやお母さんと一緒に乗るか、一人で乗るかを子どもたちに決めてもらい、馬場を3周回ります。これまでの参加者は、全員乗馬を体験していますが、もし怖くて乗りたくない場合は、引き馬乗馬券をお渡しして、後日乗りたくなった時に来てもらうようにしています。そうすることで、親が無理やりに乗せようとすることは避けたいと考えています。最後にはにんじんをあげますが、手で持ってあげたり、ボウルに入れてあげたりと、自分で選んだ方法であげてもらいます。
最初は馬が怖いなと感じているような子どもでも、ゆっくりと時間をかけ、お父さんやお母さん、お友だちがエサやりをしている様子を見て、少しずつその距離を縮めていくことができると感じます。自分で選んで様々な活動を行っていくことで、「できた」という自信を持つことにもつながります。
親子でブラシがけ
4.おわりに
馬の学校MilkyWayの活動は、今年度で25周年を迎え、現在の場所で活動を始めて1年が経ちました。この春からは、学校に行きづらい子どもたちの居場所となる活動を始め、夏には、中学生の職業体験を受け入れたり、支援学校の宿泊行事の活動を行う予定です。馬を通して学びや気づきを得て、馬がいることで人と人とがつながっていく場となるよう、新たな展開にもチャレンジしていきたいと思います。