ポニーのいる特別支援学校として 第2回

各地の活動から

2022.1.28

深谷はばたき特別支援学校 | 蛭田敦子 山﨑雅季 

ポニーのいる特別支援学校として 第2回

1 ポニー共育推進委員会の役割      蛭田敦子

深谷はばたき特別支援学校は開校から11年が経過し、在籍年数ナンバー1の「メロン」は本校にとって唯一無二の存在です。今では卒業した生徒が、メロンににんじんを持って会いに来る姿も見られるほどです。児童生徒にとっては、メロンがいる学校生活は当たり前なのだと実感します。
さて、児童生徒にとっては、当たり前の存在であるメロンですが、毎年、転入してくる教職員にとっては、初めて世話する大型動物になります。「メロンは生きる教材である」と初代宇田川校長は、話されていました。「生きる教材としてメロンを活かすには、まず教員たちがメロンを知らなくてはなりません。そのためにポニー共育推進委員会が発足し現在に至っています。今回は、その委員会の役割について紹介いたします。
 
1 メロンの命をつなぐ
メロンは大きな怪我や病気もなく今年15歳を迎えました。毎年4月、本校に転入してくる職員は委員会が主催するメロンの飼育方法を研修し実地体験します。毎日必ず、メロンの世話が適切に出来るように支援しています。メロンの健康、命がつながれているのは、この研修があるからといっても過言ではありません。
 
2 メロンと児童生徒をつなぐ
前号でも小松教諭がメロンを活かした自立活動の授業を紹介しました。委員会ではポニーを活かす授業の取り組みができるようにポニーを使った療育の紹介、講師の招へいを行ってきました。今回は、山﨑教諭の実践を紹介します。
 
3 メロンと地域をつなぐ
本校の文化祭は「メロンフェスティバル」と言います。(この2年間コロナ禍で開催中止)委員会はメロンと保護者や地域の方との触れ合う場を設け、メロンを知ってもらう機会としています。
 
このように、ポニー共育推進委員会は、まずメロンの命をつなぎ、そして、生徒と地域をうまくつなぐパイプライン的な役割を担っています。今後も、メロンが健やかに毎日を送れ、本校の児童生徒と共に育っていけるよう機能を果たしていきたいと思います。
 
 

2 ポニーを活用した小学部の教育活動の実践事例  山﨑 雅季

小学部では、動物との触れ合いによる心と体の育成や生命の大切さを知ることなどを目的に、様々な授業でポニーを活用した教育活動に取り組んでいます。今年度は、これまで各学年でえさやりやブラッシング、乗馬や引き馬などの学習を行っています。特に乗馬では、小学部の全学年が体験活動を行っています。このことは、開校以来、初めての出来事で、児童たちは積極的に取り組んでいます。このような中で、小学部の児童を対象とした3つの事例を紹介します。
 

<大集団での生活単元学習の場面>

ポニーの飼育活動を通して思いやりと優しい気持ちを育てることや生命の大切さを知ることを目的に、
各学年でえさやりやブラッシングに取り組んでいます。えさやりとブラッシングでは、初めはメロンに近づくことや触れることが難しかった児童も、教員と一緒に繰り返し行う内に、自分から触ろうとしたり、えさを上げたりする様子が見られます。高学年になると低学年からの学習の積み重ねにより、一人で手馴れた様子で人参を上げたり、優しくゆっくりとブラッシングをしたりする児童も増えてきます。
 

<小集団での生活単元学習の場面>

4年生では、姿勢保持力やバランス感覚の向上、股関節や肩関節など、可動域の拡大などを目的に、乗馬に取り組んでいます。学習を始めた頃は、メロンに乗った時の高さや揺れなどに不安や抵抗感を感じてしまい、乗る時に足を高く上げることが難しく鞍に乗ることに時間がかかる児童や、乗っている時に姿勢が崩れてしまう児童、手や肩に力が入ってしまう児童の様子が見られました。約3ヶ月の継続した学習の積み重ねにより、鞍に乗る時に片足を上げて一人で乗ることが出来るようになった児童や乗馬中に手や肩の力が抜けて周囲を見渡しながらリラックスをした様子で乗っている児童など、自分で姿勢調節ができるようになってきています。
 

<図画工作での場面>

5年生では、「メロンのお友達を作ってあげよう」を題材名とし、吹き流しを行いました。児童に親しみがあり、イメージが湧きやすいメロンの写真を児童に見せることで、これから作る作品イメージを持たせ、児童が意欲的に活動できるようにしました。授業では、児童が大好きなメロンを題材としていることもあり、意欲的に吹き流しに取り組むことができ、メロンの仲間であるライオンや犬などのお友達を作ることができました。小学部におけるポニーを活用した教育活動について、3事例を取り上げさせていただきました。この他に中学部や高等部での活動もあります。本校での取組が、今後の教育に活用できれば幸いです